
オー・ド・フランス地域圏が日本で魅力をアピール:パリから1時間の文化と歴史の宝庫
カテゴリー: 旅行 | 公開日: 2025/9/21
地中海より晴天日の多い北フランスの新たな魅力

パリからわずか1時間のアクセス抜群の立地

世界に3つしかないルーブル美術館の一つ
同地域が誇る文化遺産の目玉は、ルーブル・ランス美術館だ。世界にはパリ、アブダビ、そしてランスの3つのルーブル美術館しか存在しない。年間約50万人が訪れるこの美術館は、パリ以外のフランスで3番目に最も訪問される博物館となっている。 特筆すべきは、この美術館が日本人建築家によって設計されていることだ。妹島和世と西沢立衛によるSANAAが手がけたこの建築は、「ガラスと光のルーブル」として知られ、20ヘクタールの庭園と共に、一日中変化する光と反射を楽しむことができる。 館長のアナベル氏は、「これは世界の博物館で唯一、壁もなく、分離もなく、階層もなく、先史時代から現在まで250の作品を自由に散歩できる場所です」と、時のギャラリーの独特さを強調した。ルーブルに次ぐ古典絵画コレクションを誇るシャンティイ城
シャンティイ城は、ルーブル美術館に次ぐフランス第2位の古典絵画コレクションを所蔵している。この城の特徴は、最後の所有者であったオーマール公爵が「そのままの状態を保つ」よう遺言したため、19世紀の王子の生活空間が完全に保存されていることだ。 「シャンティイに入ると、まるで時間カプセルに入るようです」と、総管理者のアンヌ・ミレール氏は説明する。城内にはプッサン、ドラクロワ、コロー、ラファエル、ボッティチェッリ、アングルなど、印象派以前の巨匠たちの作品が展示されている。特に目玉は、ラファエルの「三美神」だ。日本との深いつながり
オー・ド・フランス地域圏と日本の関係は深い。シャンティイ城の18世紀の装飾「シンジュリ室」は、当時の日本や中国への憧憬から生まれたアジア芸術の影響を受けている。また、城から徒歩5分の「王子のポタジェ」には素晴らしい日本庭園があり、フランス大使も絶賛したという。 ルーブル・ランス美術館には草間彌生の大型インスタレーションが常設展示されており、カレー博物館では歌川国貞の作品も鑑賞できる。同美術館は、パリのルーブル美術館と協力して独自のマンガを制作した世界初の美術館でもある。世界最高峰のゴシック建築群
オー・ド・フランス地域南部には、世界で唯一のゴシック大聖堂の集中地がある。アミアン大聖堂は、ノートルダム・ド・パリ大聖堂2つ分の大きさを誇り、フランス最大のゴシック建築として知られる。 さらに印象的なのはボーヴェ大聖堂で、天井高48メートルは世界最高を誇る。「入ると高揚感に襲われます」とゴールド局長は述べる。この大聖堂には、68の人物が毎時間動き出す世界唯一の天文時計があり、8万個の部品で構成されている。85の美術館を擁する文化大国
オー・ド・フランス地域圏は、85のフランス美術館(国レベルで最も美しい博物館カテゴリー)を擁し、フランス全地域で文化予算第1位を誇る。 注目すべき美術館として、元プールを改装したルーベの「ラ・ピシーヌ美術館」がある。年間30万人が訪れるこのアール・デコ建築の美術館は、かつて市民が泳いでいたプールの面影を残しながら、アートスペースとして生まれ変わった独特の空間だ。 マティス美術館は、この地域出身の画家アンリ・マティスの170作品を所蔵し、世界で最も重要なマティスコレクションの一つとなっている。「世界で唯一、アーティストの全経歴をたどることができるマティス美術館です」と紹介された。ミシュラン星付きレストラン17軒の美食地域
オー・ド・フランス地域圏は、ミシュランガイドで星を獲得したレストランが17軒あり、そのうち3軒が2つ星を獲得している。最近日本人シェフを迎えた「ラ・グルヌイエール」や、日本風インスピレーションを取り入れた料理を提供するリール近郊の「ル・ロゾー」などが話題だ。 地域の特産品も豊富で、105の醸造所でビールを生産し、600種類のチーズを誇るフランス第1のチーズ地域でもある。驚くべきことに、フランスで生産されるシャンパンの10%がこの地域で作られている。 また、シャンティリークリーム発祥の地としても知られ、城では実際にクリーム作りのワークショップも開催されている。200キロメートルのオパール海岸と豊かな自然
「オパール海岸」と呼ばれる200キロメートルの海岸線は、海の色がオパール石を思わせることからその名が付いた。グレー、ブルー、グリーンの色彩が常に変化する美しい景色は、印象派画家モネがブローニュ・シュル・メールで作品を描いたほどの美しさだ。 5つの自然地域公園があり、中でも3つのサイトが「フランス大地」(全国で23サイトのみ)という格付けを受けている。特にソンム湾は、14平方キロメートルが1日に数回潮汐によって水没する独特の生態系を持ち、渡り鳥の重要な中継地となっている。120以上の庭園が一般開放
オー・ド・フランス地域圏では120以上の庭園が一般に開放されている。中でも印象派画家アンドレ・ヴァン・ベークが作った庭園は、「まるで印象派絵画の中に入るよう」と評される美しさだ。 サン・トメール湿地は、1000年前から人の手によって維持されてきたフランス最後の耕作湿地で、ユネスコにも認められた生物多様性を誇る。600キロメートルの水路のうち120キロメートルで、伝統的なボートによる水上散歩を楽しむことができる。2025年ツール・ド・フランスのスタート地点

パリオリンピック第2の開催地域
2024年パリオリンピックでは、オー・ド・フランス地域圏が競技数で第2の開催地域となり、152の競技がリールで行われた。特にバスケットボールでは日本チームが「幻想的で象徴的で極めて英雄的な試合」を見せ、地元を大いに沸かせた。 「日本チームは本当に個人的な偉業を成し遂げ、バスケットボールでもオリンピックの大きな発見でした。あなたたちの名誉感、忠誠心、精神状態には常に感嘆しています」とベルトラン議長は日本への敬意を表した。急成長する国際観光
統計によると、オー・ド・フランス地域圏は年間1600万の観光宿泊日数を記録している。特に注目すべきは国際観光客の急成長で、2022年から2024年にかけて12%増加し、2025年も継続的な成長が予測されている。 「私たちは大衆観光の地域ではありません。人間サイズの観光を持つ地域で、喜ばせる喜びを持っています。一度オー・ド・フランス地域を訪問すると、愛着が湧き、戻りたくなります」とゴールド局長は地域の魅力を語る。文化イベントと国際交流
年間を通じて開催される文化イベントも豊富だ。6月の「森と庭園フェスティバル」では2025年に日本が特別ゲストとなり、太鼓演奏も披露された。「芸術と庭園フェスティバル」では、島から島へ電気ボートで巡る世界唯一の水上野外博物館を体験できる。 最大の国際シリーズフェスティバルの一つ「セリーマニア」では、日本のシリーズも紹介され、5,000人の専門家と10万人以上の観客が参加する大規模なイベントとなっている。馬術文化の中心地シャンティイ
シャンティイは「フランスの主要な馬の街の一つ」として知られ、競馬場は城の領域の一部となっている。年間50の競馬会合が開催され、9人の騎手による馬術団が年間約100回の公演を行っている。 「ディアーヌ賞は世界2大競技の一つで、シャンティイで開催されています」とミレール氏は誇らしげに語る。フランスで唯一、人間と馬の関係および馬術スポーツの歴史に特化した博物館もある。工業遺産の観光資源化
かつての工業地帯としての歴史も観光資源として活用されている。炭鉱時代の「テリル」と呼ばれる土の丘は、現在148メートルの高さがあり、エジプトのピラミッドより高い。頂上まで歩いて登ることができ、パノラマビューを楽しめる。 カレーの「モードとレースの都市」では、国際的なクチュリエの作品が展示され、中島佑馬などの日本人クリエイターの作品も紹介されている。ケイト王妃の結婚ドレスのレースも、この地域のコドリーで作られたものだ。日本語対応の充実したサービス
シャンティイ城では日本語での案内見学や音声ガイドを提供し、日本人観光客への対応も充実している。「新型コロナ以前は多くの日本人をお迎えしていました。観光客がオー・ド・フランスに戻ってきたのは嬉しいことですが、シャンティイにはまだ完全には戻っていないので、ぜひお越しください」とミレール氏は呼びかけた。「フランス人の好きな記念碑」コンテストに参戦
シャンティイ城は現在、フランス全14地域の代表として「フランス人の好きな記念碑」コンテストの決勝戦に進出している。「今夜結果がわかりますが、大きな熱狂があったという印象で、少なくとも上位3位には入ると楽観しています」とミレール氏は期待を込めて語った。新しいフランス発見の扉
オー・ド・フランス地域圏は、パリに近くアクセス抜群でありながら、これまでの「フランス」のイメージとは大きく異なる魅力を持つ地域として浮かび上がった。世界最高レベルの文化遺産、美食、自然、そして日本との深いつながりを持つこの地域は、新たなフランス発見の扉として、日本人観光客にとって魅力的な選択肢となりそうだ。 地域の観光関係者からは「オー・ド・フランスはパリに近く、すでにご存知のものとは非常に異なります。皆様をお迎えし、一緒に旅程を作り、オー・ド・フランスを日本人訪問者にとって新しい発見にすることを楽しみにしています」というメッセージが寄せられており、今後の日仏観光交流のさらなる発展が期待される。フランスメディアの関連記事
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