
イノベーションと想像力が交わる場所 ― テクノロジー企業が語る未来への道筋
カテゴリー: インターネット | 公開日: 2025/11/9
第8回日仏ビジネスサミット パネルディスカッション2
日仏ビジネスサミットのパネルセッション「Where Innovation Meets Imagination(イノベーションと想像力の交差点)」では、日本マイクロソフト、TikTok、ダッソー・システムズのトップリーダーが、テクノロジーがどのように創造性を解き放ち、イノベーションを加速させるかについて語りました。 登壇者 津坂美樹氏(日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長) アージュン・サーワル氏(TikTok for Business Japan グローバルビジネスソリューションズ ゼネラルマネージャー) フィリップ・ゴドブ氏(ダッソー・システムズ株式会社 代表取締役社長) 小林暢子氏(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 マネージングディレクター&パートナー)※司会バーチャルツインが拓く新しい創造のかたち
セッションの冒頭、ダッソー・システムズのゴドブ氏は、バーチャルリアリティ技術を活用したプロジェクトの映像を紹介。「バーチャルリアリティから『バーチャル』を取り除くことに成功した」と表現し、実際に存在するかのように体験できる技術の進化を強調しました。 「重要なのは、プロジェクトの関係者全員が体験を共有できることです。建物の高さを変えたり、庭園の配置を調整したり、実際に建設する前に修正や改善ができる」とゴドブ氏。 ダッソー・システムズは、2025年の大阪・関西万博をはじめ、世界各都市のバーチャルツインを開発し、都市計画に活用しています。さらに、「Living Heart Project」など、人体のバーチャルツインにも取り組んでおり、AIと組み合わせることで、未来のイノベーションと想像力を創出しようとしています。マイクロソフト:時間を生み出すAIがイノベーションを加速
津坂氏は、イノベーションを妨げる最大の要因として「時間の欠如」を挙げました。 「イノベーターも、オフィスワーカーも、誰もがイノベーションを起こすべきですが、人々に欠けているのは時間です。テクノロジー業界が提供しようとしているのは、考え、創造するための時間を取り戻すことです」 マイクロソフトのAI製品「Copilot」は、世界中のFortune 500企業やCAC 40企業に採用され、日本でも日経225企業の85%が使用しています。 特に印象的なのは、開発者向けの「GitHub Copilot」の成果です。コードを書く開発者の作業速度が30〜50%向上しただけでなく、「退屈な作業がテクノロジーに任され、面白い部分が人間に残されたことで、開発者がより幸せになった」と津坂氏は語ります。 「昨年と今年を比較すると、同じチームで3倍のボリュームを生産しています。幸福度の向上、創造性の増大、スピードアップ、そして効率化。これは非常に印象的な結果です」 さらに、生成AIは専門家でなくても使えることが革新的だと指摘。「私はエンジニアではなく、コードもうまく書けませんが、AIに話しかけることができます。何世紀も前の専門家と対話し、自分の思考プロセスを深めることができる。テクノロジーを思考のパートナーとして活用できるのです」TikTok:幸福追求とクリエイターエンパワーメント
サーワル氏は、TikTokのミッションが「創造性を刺激し、喜びをもたらすこと」であり、それは個人のエンパワーメントと集合的な消費を中心に据えていると説明しました。 「TikTokでは誰もがクリエイターになれます。ダンスを踊る必要はありません。教育、金融リテラシー、医療、健康、メンタルヘルスなど、様々なコンテンツがあります」 TikTokは「コンテンツグラフ」を中心に構築されており、人とのつながりではなく、興味や情熱に基づいてコミュニティを形成します。世界で30億人以上、日本では4,400万人のユーザーが、1日平均80分(14回、各4〜5分)アプリを開いています。日本での具体的な成果
1. 文化的トレンドの創出- 美しく漢字を書く動画が人気に
- コンビニ商品紹介動画が5,000%の検索増加を記録
- 観光会社が「コンビニツアー」を企画するまでに
日本市場での戦略:グローバルとローカルのバランス
ダッソー・システムズ:50年の歴史と日本のDNA ゴドブ氏は、創業者マルセル・ダッソーが1970年代後半に本田宗一郎と出会い、ダッソー・システムズの世界で2番目の顧客がホンダだったというエピソードを紹介。 「日本の顧客は最も難しい顧客であり、同時に最高の顧客です。常に適切なレベルの技術と使用方法を追求します。ハイコンテクストな関わり方が、非常に効率的で強力な結果を生みます」 現在、フランスに続き東京オフィスでも「テレポート」実験を展開。「日本では、物事がどうあるべきかについてコンセンサスを得る必要があり、それによって成熟し、よく組織化されたものになります。遅れているのではなく、時間をかけて正しく進めているのです」 TikTok:日本専用の機能開発 サーワル氏は、TikTokが日本をグローバルで5つの「A+市場」の一つと位置づけていることを明かしました。 「グローバルとローカルの適切なバランスを見つけることに注力しています。日本向けのAIモデルは独立したもので、日本の顧客の習慣から学び、それに応じて出力を調整します」 日本専用の取り組み:- TikTok Lite:動画に顔を出すことに抵抗がある日本人向けに、ポイント機能を統合。中高年層や東京以外のユーザーに人気
- データセキュリティ:日本向けに強化されたセキュリティレベルのデータクリーンルームを提供
- 日本語専用の言語モデルを開発