新型インフルエンザの世界的流行はヨーロッパではひと段落したものと考えられており、フランスではワクチンが相当量余るのではないかと騒ぎになっている。
フランス政府が注文した新型インフルエンザは全部で9400万回分だ。現在国内では500万人近くが接種し、1000万回分はWHOに譲渡されている。残りの約8000万回分が余ってしまうという計算になるのだが、保存期間は1,2年が限度だ。
下火になったと思える流行も、また数ヵ月後にぶり返す可能性はあるとはいえ、感染者が増加していることでワクチン接種者も減少すると考えられる。そのため、この8000万回分は無駄だったのではないかと野党が非難の声をあげているわけだ。
そもそも、なぜこんなに大量に発注されたのか。注文当時のWHOは、1人2回接種を推奨していた。ところが途中で推奨回数が1人1回に変更。このことが過剰発注の主な原因と考えられる。
もちろん、流行が落ち着いた今だからこそ、過剰発注が無駄だったと非難されるわけだが、当時はワクチン不足を懸念する声も大きかったはず。足りなかったら足りないで、これまた大問題なのだから、この8000万回分は安心料と考えるしかないだろう。
今後、流行がどのような動きを見せるのかは誰も予測はつかないが、ともかく、世界中が振り回される問題であることは変わらないようだ。