日本でも大学入試問題がインターネット上に流出した事件は記憶に新しいが、今度はフランスのバカロレアの試験問題が流出する事件が起きた。ナポレオンが作った全国統一の試験で、フランスの高校生がほぼ受験する。これに合格すれば、フランスの一般大学なら原則的にどこでも入ることが出来る。
バカロレアは試験期間になると必ずニュースになるほどで、特に全員が受けなければならない哲学の試験は出題内容が披露される。いくつかのお題が提示され、4時間かけて記述式で答える。
流出したのは理系の数学の問題で、試験の前日にインターネットに載せられた。犯人はパリ在住の21歳と25歳の兄弟で既に逮捕されている。まだ、どこから問題を入手したかは分かっていない。また、英語と物理の試験問題が流出したとか、その他様々な問題がショートメールで流れているという噂も立っている。
現在の問題は、この流出した問題の得点をどうするか?発表では流出した問題の得点を0として、より易しい2問目、3問目にこの分の得点を加算すると発表している。しかしこれには抗議が多く、より難しい問題を解いたのに加算されず、始めからあきらめて飛ばした人が有利であるとか、1問目だけ再テストすればいいとか、様々な対応策が出されている。特にボーダーラインぎりぎりの人への配慮が難しく、悩ましい問題となっている。
日本の入試テストのように、点数順に合格するわけではないので、実害が無い人も多いだろうが、サルコジ大統領の哲学のテストが落第点だった為に再試を受けたと後々語られる事もあり、デリケートな問題ではある。
フランスでは大学入学に対して比較的門戸が広いと言えるが、大半が脱落してしまうという結果が出ている。1年生の学年末で留年する人が23%、進路変更する人が19%、中退する人が6%と約半数が何らかで脱落してしまっています。