フランスのベビーブーム
フランスの出生率が上がっている。2008年の出生率は2.07となり先進国でもトップの数値を記録し、国内では何十年ぶりかのベビーブームが巻き起こっているようだ。
ベビーブームの要因の一つに、出産年齢がある。2008年には女性の21.3%が35才以上で出産するなど、高齢出産のハードルを感じる人が少ないことが顕著に表れた。
他にも手厚い家族手当がある。20才未満の子供が2人いれば月に123ユーロ(1万6千円程度)支給され、子供が増えるごとにその額は上がる。第一子より第二子が優遇される仕組みとなっている。
また職場復帰への支援としてベビーシッター補助金の支給や育休も第一子より第二子が長くとれるようになっているなど様々な支援が実施されている。それぞれの状況に応じて国の支援を選ぶ選択肢の幅があるのだ。こういった政策の成果か、もともとの国民性か、女性が職場復帰するのは当たり前で難しいことではないという社会の風潮が女性の出産を後押ししているように思う。
ちなみに日本の出生率は1.37でまだまだ低い。今回の日本の衆議院選では各党のマニフェストとして「子育て・教育」支援をメインに掲げているが、子供一人につき一月2万6千円を支援するとか、教育費を無料にするとか、おいしい文句が並ぶがどれもピンとこない。
何を求めているかは専業主婦なのか働いているのか等家庭状況に応じてひとりひとり違うのだから、フランスのようにとまではいかなくとも、もうちょっと選択肢を増やして幅広い人が恩恵を受けられる政策を出して欲しいものだ。少子化少子化と騒いで対策を講じるわりにはたいして出生率が上がらないのは、どうも女性の生の声が拾えていないことが要因にあるように思えてならない。
とはいえ、うまくいっているように見えるフランスもお金の支援は逼迫しており、家族手当の収支は赤字に転じている。恩恵を受けた子どもたちが将来に向かって借金を背負っていくのは皮肉なことだ。財源確保のため新しい税の導入も検討項目のようだ。